先日の定期演奏会を終えて卒団いたしました、2018年度学生指揮者の鴨井秀和です。去る12月15日、東京芸術劇場にて慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第143回定期演奏会を無事に終えることができました。今回の演奏会においてお世話になった先生方、OBの皆様、他大学の皆様、そして関係者の皆様、そしてご来場頂いた皆様に御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。今回の演奏会には1500名近くものお客様にご来場いただきました。年の瀬にこれだけ多くの方々に我々の演奏をお届けできたことは、本当に恵まれているなと思いました。来年以降もどうぞワグネルをよろしくお願いいたします。
第1ステージでは、佐藤正浩先生の指揮で、 “Trinklieder und Lieder der Freundschaft” ~『酒と友情』 と題しドイツロマン派の作品を4曲演奏いたしました。生き生きとした作品を「ワグネルらしく」、そして東西四連とはまた違った演奏をできるように練習してきました。今回いわゆる編曲モノではなく、オリジナルの男声合唱作品を初めて扱うことになり、非常に苦労しましたが良い演奏になったと思います。
第2ステージでは、私の指揮で多田武彦作曲の『柳河風俗詩』を演奏しました。私自身、今までとは違った演奏がしたいという想いを持っていたため、団員と共に試行錯誤を重ねてきました。早慶合同演奏会でも演奏をしましたが、ソリスト、パート編成を変更し新たな気持ちで定期演奏会に臨みました。終演後多くの反響を頂き、非常に嬉しく感じております。ありがとうございました。第3ステージでは、『「言葉は」~谷川俊太郎の詩による近作男声合唱曲より~』と題したアラカルトステージを、相澤直人先生指揮、前田勝則先生伴奏により演奏いたしました。相澤先生の軽妙なトークと確かな知識に刺激を受け、団員が練習から非常に伸びやかに演奏していたことが印象に残っています。谷川俊太郎の詩に乗せながら相澤先生・前田先生と共に音楽を届けることができ、非常に良い経験になりました。
第4ステージでは、佐藤正浩先生指揮、前田勝則先生伴奏で、荻久保和明作曲の『季節へのまなざし』を演奏いたしました。この作品は多くの合唱団が名演を残したことで知られています。佐藤先生は、「それらの作品とはまた違ったものにしたい」と頻りに仰っていました。我々もその思いを同じくし、挑戦を続けてきました。演奏を終えた後に大きな拍手を受け、我々の願いが結実したと確信しました。
今年度の定期演奏会は「色」をテーマに取り組んできました。そのために、楽譜から感じ取られることはどんな些細なことでも表現するように団員一人一人が努力してきました。その成果が各ステージ表れていたと思います。また、私自身学生指揮者として、最後の一音まで妥協しない思いをもってやってきました。それは学生アンコールとして演奏した『誕生』(中島みゆき作詞作曲、下薗大樹編曲)においてもこだわることができたと感じています。
最後に1つ。昨年先輩方から「想い」のバトンを受け取った私達143代ワグネルは、多くの方々の温かい手助けによって、ここまでバトンをつなぐことができました。我々のワグネル生活はこれにて終了ですが、これからもワグネルは団として前進し、成長していくことでしょう。その行く末をどうか、温かく見守っていただけますようよろしくお願いいたします。