先日の定期演奏会を終えて卒団いたしました、2017年度責任者の武山陸です。
11月11日、東京芸術劇場にて慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第142回定期演奏会を無事に終えることができました。この度の演奏会においても多くの先生方、OBの皆さま、賛助いただいた志木ワグネルとワグネル・OB・オーケストラの皆さま、そして関係者の皆さまにお世話になりました。また、ご来場いただきました全てのお客さまに御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
今回の演奏会では1,743名ものお客さまにご来場いただきました。私が初めて参加した第139回定期演奏会では1,401名であり、その後1,626名(第140回定期演奏会)、1,657名(第141回定期演奏会)と毎年増加してきたなか、今年も記録を更新することができました。こんなにも多くのお客さまの前で歌うことができ、私たちは本当に幸せ者だと思います。
第1ステージは髙田三郎作曲の《ひたすらな道》を、佐藤正浩先生の指揮と前田勝則先生のピアノで演奏いたしました。四連でこの曲を演奏してから5カ月が経ちましたが、その間に曲解釈が団員一人ひとりの心の中で熟成された結果、より曲を理解した上で臨むことができたと思います。一連の詩に表れている強い意志・決意・覚悟は私たち団員が1年間を過ごすなかで最も必要だったもので、この曲を堂々と歌えたことは必ずや今後の自信に繋がることでしょう。
第2ステージは多田武彦作曲の《吹雪の街を》を、学生指揮者の平田亮が演奏いたしました。ワグネルは学生団体でありながら常にプロの先生方の指導のもとで歌えるという比較的特異な合唱団です。だからこそ学生主導でつくる本ステージは貴重なもので、団員の底力が試されるところだと思います。多田武彦の曲は特徴的なハーモニーのイメージが強いですが、学生指揮者の平田は「『きれいな演奏でした』という感想は欲しくはない、もっと観客の心に訴えられる表現をしよう」という(生意気な)目標を掲げ、団員を引っ張ってくれました。実際の演奏はいかがでしたか。もし私たちの演奏を聴いて何かを感じ取っていただけていれば幸いです。
第3ステージは木下牧子作曲の《Enfance finie》を、清水敬一先生の指揮と前田勝則先生のピアノで演奏いたしました。ついに、あの清水先生をワグネルにお呼びすることができました!清水先生は本当に素晴らしい方で、練習ではユーモアを交えながら、圧倒的な知識に裏打ちされたご指導をしてくださいました。「過ぎ去りし少年時代」という副題がついておりますが、私たちも直に社会人となり、学生時代という若かりし時間に別れを告げて歩きはじめなければなりません。そんな人生の岐路に立っている私たちだからこその歌い方ができたように思います。
第4ステージはR.Wagner作曲の《歌劇『タンホイザー』より》を、佐藤正浩先生の指揮、小川里美先生のソプラノ、谷口伸先生のバリトン、ワグネル・ソサィエティー・OBオーケストラと慶應義塾ワグネル・ソサィエティーOB合唱団、慶應義塾志木高等学校ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の賛助出演で演奏いたしました。ここまで比較的静かな曲が続いただけに、サイドバルコニーやオルガンバルコニーまで使った約200名による圧倒的な音圧に驚かれた方も多いでしょう。これはワグネルにとって類を見ない挑戦であり、各団体・先生方からの多大なるご助力を賜りながら準備してまいりました。しかしこれだけの人が集まったのにも関わらず心を一つにして演奏できるとは、音楽とはなんて素晴らしいものでしょうか。ワグネルの名前の由来であるワーグナーの名曲をこのような形で演奏できたことは大きな喜びです。
第4ステージが終わると佐藤先生・清水先生・平田によるアンコール、そしてステージストームでは毎年恒例のカレッジソングを演奏いたしました。プログラムに書かれた曲目を終えてから実際の終演まで約30分もあるという、ワグネルの(良くも悪くも)伝統的な儀式です。最後の演奏である《丘の上》ではこれまで4年間の思い出と達成感、そしてこの曲をもって現役を引退する寂しさで胸がいっぱいになりました。最後まで惜しみない拍手をいただき、本当にありがとうございました。
私はここまで責任者を務めてまいりましたが、お世話になった皆さまへの感謝の念は尽きることがありません。昨年に先輩方からワグネルのバトンを受け取った時はそのプレッシャーの大きさから不安でいっぱいでしたが、頼れる同期や後輩、そして先生方やOBの皆さまの温かい手助けによってここまで繋ぐことができました。私たち4年生はワグネル生活に終止符を打ちましたが、ワグネルは後輩が新たにバトンを受け取り、新たな歴史を紡いでいきます。これからも現状に満足することなくクレッシェンドしていく所存でありますので、今後とも変わりなくワグネルを見守っていただけますよう、よろしくお願いいたします。