先日の定期演奏会をもちまして卒団いたしました、146 代責任者の藤井雅裕です。
去る1 月10 日に、東京芸術劇場にて慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第146 回定期演奏会を開催いたしました。この度の演奏会でお世話になった先生方、OB の皆様、関係者の皆様、そしてこのような状況の中でもご来場いただいた皆様、配信をご視聴いただいた皆様に御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
第1ステージでは、浜田広志先生の指揮で三善晃作曲の『クレーの絵本第2集』を演奏いたしました。浜田先生は近年学生指揮者の指揮レッスンもしてくださっている方で、今回このような形で共演できたことをとても嬉しく思っております。近年は定期演奏会にて三善晃の作品を扱うことがなかったのですが、今回その作品の世界観を浜田先生による指導のもと、いつものワグネルとは少し違った表情で演奏できるよう取り組みました。
第2ステージでは、『Cole Porter Song Album』と題しまして、コールポーターの名曲から6 曲を前田勝則先生編曲のもと、佐藤正浩先生の指揮と前田勝則先生のピアノ、そしてソプラノの藤谷佳奈枝先生で演奏いたしました。英語曲の歌い回しや歌詞の意味をしっかり意識して歌うことに団員一同とても苦戦しましたが、藤谷先生の圧巻のソロや前田先生のピアノに後押しされ、本番ではコールポーターの世界をご来場、ご視聴いただいた皆様にお楽しみいただくことができたのではないでしょうか。
第3ステージでは、『Paul Hindemith – A Composer’s World in His Works for Male Chorus –』と題しまして、ドイツの作曲家Poul Hindemith による男声合唱曲から5 曲を学生指揮者の田中裕大の指揮で演奏いたしました。学生ステージでドイツ語の曲を扱うことはなかなかないこともあり発音に苦労したりもしましたが、学生指揮者の田中によるしっかりとしたヒンデミット作品の解説や、ボイストレーナーの小貫岩夫先生のご指導のおかげで良い学生ステージにすることができました。演奏後、お客様からの評判も非常に高く大変嬉しく思っております。
休憩を挟み第4ステージでは、ワグネル創立120 周年記念委嘱初演として、新実徳英先生作曲『愛のうた─光太郎・智恵子─男声合唱とフルート、クラリネット、弦楽オーケストラのために』を、指揮を佐藤正浩先生、オーケストラをザ・オペラ・バンドの皆様で演奏いたしました。30 分を超える大作の初演ということもあり練習はとても大変でしたが、先生方の指導のもと高村光太郎の愛を表現できたと思います。また、創立120 年を記念して作曲いただいたこの曲をプロのオーケストラであるザ・オペラ・バンドの皆様とできたことはとてもありがたく貴重な経験となりま
した。このような素晴らしい作品を作っていただいた新実先生には深く感謝申し上げます。
第4ステージ後には、佐藤先生、浜田先生、そして田中によるアンコール、そしてストームを行いました。『丘の上』では今年も我々卒団生は肩を組んで2 番を歌唱することはできなかったため一歩前に出ての歌唱となりました。中には涙を流す同期もおりましたが、私は案外いつも通りに歌えて、あっという間に演奏会が終わってしまったなという感覚でおりました。
昨年度から引き続き合唱にとっては辛い状況のなかでのワグネルとなり、責任者としても非常に難しい一年となりました。しかし、そんな中でも少ない時間でみんなと一生懸命練習をして本番で素晴らしい演奏ができたことは大変誇らしいことであり、大学生活の良い思い出となりました。今後はOB として、私は現役の活動を支えていくことになりますが、コロナが収束し現役の活動がより一層発展していくことを心より願っております。今後とも慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団をどうぞよろしくお願いいたします。