日記

第149回定期演奏会

みなさま、こんにちは。149代責任者の國分です。去る、2024年12月27日に、すみだトリフォニーホール・大ホールにて、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第149回定期演奏会を開催いたしました。演奏会を開催するにあたり、多大なるご指導・ご支援を賜りました、諸先生方、OBの皆様、関係者の皆様、そして会場やオンライン配信にて演奏をお聴きくださった全ての皆様に深く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

第1ステージでは、常任指揮者である佐藤正浩先生の指揮の下、「現代作曲家による三つの祈り」と題し、Ola Gjeilo作曲の「Ubi Caritas」、Krzysztof Penderecki作曲の「Benedicamus Domino」、Sydney Guillaume作曲の「Gagòt」を演奏いたしました。教会音楽におけるグレゴリオ聖歌からの「守破離」というコンセプトの中、曲ごとに次々に変化する表現に初めは苦戦しました。また、ハイチ・クレオール語とフランス語によって織りなされる「Gagòt」では、佐藤先生のご指導の下、フランス語を参考にした発音を徹底的に練習しました。最終的には、第1ステージ特有の緊張感はありながらも、集中力の高い演奏をすることができました。

第2ステージでは、学生指揮者である千葉洸之介の指揮、永澤友衣先生のピアノで男声合唱とピアノのための組曲『天使のいる構図』を演奏いたしました。本組曲は、9月に開催された第1回早慶四団体連合演奏会でも当団が演奏しており、再演となりました。さらにレベルアップした演奏を目指し、永澤先生とご一緒に試行錯誤してまいりました。定期演奏会期は他の曲とも並行して練習しなければならず、時間は限られていましたが、最大限の準備をして本番に臨むことができたと思います。最後の和音が鳴ったときには、様々な感情が早くも込み上げてきてしまい、直後のインターミッション中には舞台袖で涙を流す者もいました。永澤先生には、夏合宿から本演奏会まで、学生のみで練習を行っていく際、壁にぶつかる度、何度も手を差し伸べていただき、大変お世話になりました。

第3ステージでは、男声合唱組曲『そのあと』を、客演指揮者である福永一博先生の指揮で演奏いたしました。福永先生には今年度の六連に引き続き指揮をしていただきました。また練習では、作曲者の上田真樹先生にお越しいただく回もあり、作曲にあたっての思いも伺いながら丁寧に練習を重ねてまいりました。アカペラの和声的な作品ということもあり、以前福永先生とご一緒した「輪廻」とは全く異なる雰囲気の曲でしたが、練習毎に私たちの中の音楽を先生に引き出していただきました。本番でも息の合ったアンサンブルをすることができたと存じます。

第4ステージでは、男声合唱とピアノのための「輪廻」を、指揮は福永一博先生、ピアノを前田勝則先生、そして打楽器を北條歩夢先生に演奏していただき披露いたしました。六連の再演となるステージでしたが、新たに9人の歌い手が加わり、単なる再演にとどまらない、さらに進化した演奏をすることができました。福永先生の熱量に呼応するようにエネルギーが高まり、混沌とした世界観を表現することができ、会場とも一体となれたように感じます。ホールの都合により、最後のピアノをミュート奏法で弾くことは叶いませんでしたが、前田先生にも柔軟に対応していただきました。

第5ステージでは、ミュージカル『レ・ミゼラブル』を、佐藤正浩先生の指揮、三浦奈綾先生の演出、前田勝則先生のピアノで披露いたしました。また、照明責任者に山本英明様、舞台監督に井清俊博様をお迎えし、団員は衣装も着用するなど、本格的なミュージカルステージとなりました。団員にとっては初めてのミュージカルステージとなり、最初は演技を行いながら歌唱することに慣れておらず、戸惑いもありました。しかし、練習を重ねるごとに、少しずつ一人ひとりの姿勢にも熱が入り、三浦先生のお力添えもあり、本番では全員が役に入り切った、渾身のミュージカルをお届けすることができたのではないかと存じます。また、練習には編曲者である小嶋聡様にもお越しいただく回もあったほか、ピアノを永澤友衣先生に弾いていただくときもありました。たくさんの方に支えられながら無事に本番を迎えることができ、改めて感謝の気持ちで一杯です。このミュージカルステージでは、ソリストはもちろんのこと、団員一人ひとりが隠れずに歌うことの重要性とパワーを再認識することができました。今後の活動を行っていく際の大きな糧ともなる、大変貴重な機会となりました。

その後は、佐藤先生、福永先生、千葉によるアンコール及びストームを行いました。佐藤先生のアンコールでは、演出付きでレ・ミゼラブルの曲である「One Day More」を披露し、最後までレ・ミゼラブルの世界観、そして本演奏会に通底する祈りと救済の世界観を表現することができました。また、福永先生アンコールである「永訣の朝」は、同じ西村朗先生作品である「輪廻」とは異なる表情の作品でしたが、かなりの時間をかけ練習し、魂のこもった演奏ができたのではないかと存じます。千葉のアンコールである「かなしくなったときは」は、彼を中心とした技系陣の強い希望により選曲されました。今年一年間149代を引っ張り続けた彼らの熱意と団員全員の気持ちが集約された演奏となりました。ストームでは、「丘の上」の途中に学生指揮者が交代し、代替わりを実感すると共に、4年間の全ての思いを胸に、涙を流しながら全力で歌いました。約3時間30分と長丁場の演奏会となりましたが、最後まで集中力を切らさず、一生懸命歌い続けることができました。149代の演奏はいかがでしたでしょうか。少しでも皆様の心に残る演奏がございましたら幸甚です。

今年度はコロナ禍前の活動を取り戻して二年目でした。ワグネルライフが改めて軌道に乗ってきたと同時に、9月には第1回早慶四団体連合演奏会の開催など、大学合唱界における新たな挑戦も行った年となりました。決して平たんな道を、そして近道を通ったわけではない1年間でしたが、多くの方に支えていただきながら走り抜けたこの経験は、間違いなく来年度以降にも繋がるものであると確信しております。改めて感謝申し上げます。

そして今後はOBとして、現役の更なる成長を大いに期待しながら、支援をしてまいりたいと思います。

今後とも、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団を、何卒よろしくお願いいたします。